<試用レポート2>

英日・日英 コリャ英和!一発翻訳バイリンガル Ver.2.0 +OCRソフト
バベルMT研究会主宰 小室誠一
http://www.babel.co.jp/mtsg/
mt@buc.babel.co.jp

さて、今回は「コリャ英和」を取り上げます。

現在、翻訳ソフトがこれだけ普及したのはなんと言っても「コリャ英和」のおかげだと言えます。本格的なエンジンを搭載した翻訳ソフトが1万円を切って発売されたのですから、翻訳ソフト・ファンにとってはこの上ない喜びでした。

今回試用した「英日・日英 コリャ英和!一発バイリンガル Ver.2.0 +OCRソフト」は、その「コリャ英和」を核として、盛りだくさんの機能を備えたオールラウンドのソフトにバージョンアップしています。

とにかくたくさんの機能があります。全部試していたら寝る間がありませんので、いくつかポイントを絞って見て参りましょう。

前回のレポートでも書いたように、翻訳ソフトは大きく分けて次の二つになります。

(1)一般のユーザーが英文の読み書きをするツール
(2)プロの翻訳者が「翻訳」をする際の支援ツール

今回のコリャ英和は(1)の部類に入ります。ということは、何も手を加えずに出力した訳文の良し悪しが問われるわけですね。


●それでは、さっそく出力文を見てみましょう。
対訳エディタで出力したのが下の図です。
<第1文>このように「3 %」などという記号が入るとうまく訳せないことが多いのですが、滑らかな訳文になっています。
<第3文><第4文>「スピード」、「需要」とするソフトが多いのですが、ここでは「スピード」、「需要」となっています。
<第5文>「may」を「〜してもよい」と正しく訳しています。
<第6文>and acceptedを正確に捉えています。
<第7文>無難に訳しています。
<第8文>as law as の訳出に失敗してます。
<第9文>「with」を「状態で」と正確に直訳しています。
<第10文>「can」を「ことができる」と正しく訳しています。
<第11文>この文も含めて、全体に助動詞をきちんと訳しています。
●対訳エディタの機能はどうでしょうか。
翻訳したばかりのセンテンスは青い文字になっています。この状態で単語をクリックすると対応する訳語の文字が赤くなります。
選択した単語の上にマウスカーソルを置いたまま右クリックするとプルダウン・メニューが開きます。
「訳語置換」にカーソルを置くとにサブメニューが開いて訳語候補が表示されて、別の訳語を選択することができます。さらに、ユーザー辞書登録もできます。

●ユーザー辞書機能は最も興味のある部分です

コリャ英和のユーザ辞書は、このクラスのソフトにしては実用的です。品詞も「名詞」「動詞」「形容詞」「副詞」前置詞」「接続詞」「前置詞句」が登録でき、基本辞書に対する優先度を選択することもできます。
これなら、辞書をこまめに丁寧に登録することによって、翻訳品質をどんどん高めることができますね。

●「設定」も少しだけ覗いてみましょう。
翻訳に関しては、文体とスピードの設定だけです。別売の専門辞書は2つまで設定できます。
最近は、ワープロなどのアプリケーションに対するアドイン機能がついている翻訳ソフトが多くなりましたが、コリャ英和も、Microsoft Office や一太郎などにアドインする機能があります。それも、アドインの設定がワンタッチでできるというのがいいですね。
下図のように、インストールされているソフトが自動検出されて、アクティブ表示になります。「登録する」ボタンをクリックすれば設定でき、解除も「解除する」ボタンをクリックするだけです。

●最後に操作パネルを見ておきましょう。

左から地球のアイコン2つはWEBブラウザ翻訳です。これはもうお馴染みの機能ですね。「英和文」は英語の下に訳文が挿入されます。「和文」はWEBページ全体が日本語に置き換わります。
左から3番目の「英和」は先ほど見た対訳エディタでの翻訳です。
「辞書」は研究社の新英和・和英中辞典。
「例文」では英文作成用の例文を参照できます。


感想:
ユーザがカスタマイズできる部分は少ないが、ユーザ辞書の機能など重要なポイントは押さえられている。「高精度な翻訳エンジン」を売り物にしているだけあって、出力文の品質レベルは高い。日英翻訳機能、英文作成支援機能などもついて、使い勝手の良いソフトになっている。

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