第2次世界大戦後の世界を二分していた米ソ冷戦が終了した後、21世紀の世界のビジネス、科学情報のグローバル化は著しく、言語の相違する地域同士の情報を伝達する翻訳者の重要性は日増しに高まっている。しかしアクセス技術が日進月歩で発展するメデイアを通して海外からの情報が増大しているのにくらべ、翻訳者の情報を読み取る能力はまだ十分とは言えない。現代の世界では、英語文化が異文化間のコミュニケーションにおいて覇権を握っていて、非英語圏の情報も英語圏の価値観で一方的に判断されがちである。英語圏だけでなく、我々日本人の文化もふくめて、非英語圏の知識、価値観も知らずして世界を理解できない。世界における異文化の知識の不均衡を少しでも是正するべく作られたのが、当講座「世界翻訳史」である。当講座は、世界史の主な流れを説明しながら、「旧約聖書」、「新約聖書」、「リグ・ヴェーダ」、「論語」などの世界史における有名な古典と共に、「般若心経」、「源氏物語」、「解体新書」といった日本人にとって不可欠な古典を通して、世界における翻訳ならびに異文化研究の歴史を解説してゆく。受講生諸君は、当講座を元手として、確実な語学力と同時に広範な知識を備えて、外国からの情報を識別、検証する能力を持ってほしい。
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